自己破産

債務整理の方法

自己破産の誤解と偏見

自己破産しても

  • 選挙権・被選挙権を失わない
  • 年金を受給できる
  • 住民票に書かれない
  • 戸籍に書かれない
  • 家賃を払っていれば追い出されない
  • 破産したことを理由に解雇されない
    会社が自己破産を理由に解雇した場合は、解雇権の乱用で無効となる。

自己破産のメリット・デメリット

個人の破産手続では、破産手続開始決定を受けただけでは、債務から解放されず、さらに、債務を免除するという免責許可決定を受けてはじめて債務から解放されます。
この免責決定は95%の人が許可されています。

自己破産のメリット

免責を受ければ借金から解放
人生をやり直せる
なので、免責後はいくら稼いでもOK

自己破産のデメリット

  • 破産手続きで破産管財人が選任されると、
    長期の旅行、転居に裁判所の許可が必要
    郵便物がすべて破産管財人のところに配達される
  • 借金を返さないのでブラックリスト(金融業者の信用情報機関)に載る
    信用情報機関に事故情報として登録される
    約7年間借金ができない、クレジットカードが作れない
    今後車をローンで買えない
    なので、すべて現金払い
  • 官報に書かれる
    でも、普通の人は官報を見ない
  • 破産者名簿に書かれる
    でも、破産者名簿は非公開
    免責を受ければ削除される
  • 資格制限を受ける仕事ができない
    なので、半年から1年は仕事ができない
    でも、免責を受ければ仕事ができる
    なので、半年から1年後には資格制限のある仕事ができる
  • 再び自己破産の申立をするときは、7年経過しないと免責を受けられない

自己破産の注意点

  • 債権者一覧表には、すべての債権者を記載
    漏れがあると記載されていない債権者には全額弁済しなければならない
  • すべての債権者は
    消費者金融、信販系クレジット、銀行カードローン
    知人、友人からの借金
    自分が保証人になっている場合(保証債務)
    車、家のローン
    とにかく、すべての債権者
    誰が自分の債権者かを注意深く思い出す
  • 7年以内に破産免責を受けている場合は免責されない
  • 免責不許可事由があると免責されない可能性がある
    例:浪費・ギャンブル、詐欺破産など
    でも、免責が受けられなくても破産はできる
  • 税金など公的支払いは免責されない

自己破産の流れ

  • 認定司法書士・弁護士に相談
    借金のレシートなどを渡す
    すべての債権者を申告
  • 認定司法書士・弁護士が債権者に受任(受任)通知と取引履歴請求
    督促から開放
    債権者からの請求はストップ
  • 過払い金があれば債権者に返還請求
  • 借金の総額が確定
  • 自己破産申立のための書類を集める
    戸籍謄本、住民票、2年分の通帳など揃えるのも大変
    申立書、陳述書、家計の状況、債権者一覧表作成など結構大変
    自分で申立るには相当な時間と労力が必要
    ここまでがとっても大変
    破産するのは簡単は、大間違い
    なので、認定司法書士・弁護士に依頼
  • 申立は地方裁判所にする
  • 裁判官と面接(破産審尋)
    裁判官は怖くない、普通の日本語がわかればだいじょうぶ、ときにはうなずいていればOK
  • 破産の手続を始めるという意味の破産手続開始決定
  • 処分する財産がない人は
    免責審尋に(借金を免除する手続)
  • 処分する財産がある人や破産管財人をつける必要がある人は
    管財手続に(破産管財人が選任される)
  • 免責審尋(裁判官と面接)
    借金を免除してもらう手続
    怖くない、日本語がわかればだいじょうぶ、ときにはうなずいていればOK
  • 債権者のための免責異議申立期間(1か月)
    債権者は普通あきらめる
  • 裁判所が免責許可決定
  • 免責許可が確定
    借金を返す必要がなくなる
    人生をリセットできる
    申立から確定まで禁止されていた仕事ができるようになる
    すべての手続終了まで半年から1年かかる

免責不許可事由

免責不許可事由(免責を許可しない理由)がない場合は、免責許可が決定される
免責不許可事由がある場合であっても、裁判所の裁量によって、破産に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認められれば、免責許可が決定される
免責不許可事由(主なもの)

  • 破産財団に属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分、破産財団の価値を減少させる行為
  • 特定の債権者に債務を弁済する行為
  • 浪費、賭博などによって財産を減少させたり過大な債務を負担したこと
  • 業務、財産の状況に関する帳簿、書類など隠匿、偽造、変造する行為
  • 虚偽の債権者名簿を提出したこと
  • 裁判所が行う調査で、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたこと
  • 不正の手段によって、破産管財人などの職務を妨害したこと
  • 裁判所、破産管財人の調査に対する協力義務などに違反したこと
  • 次の事由があった場合、その日から7年以内に免責許可の申立があったこと
    • 免責許可の決定が確定し、免責許可決定の確定の日から
    • 民事再生法の給与所得者等再生で再生計画が遂行され、再生計画認可決定の確定の日から
    • 民事再生法のハードシップ免責の決定が確定し、再生計画認可決定の確定の日から
    • 非免責債権

免責許可の決定があっても免責されない破産債権

  • 税金など租税の請求権
  • 悪意の不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意・重過失よる生命・身体に対する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 養育費用に関する請求権
  • 労働者保護の観点から
    給料など雇用関係に基づいた使用人の請求権、使用人の預り金返還請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  • 罰金などの請求権

破産手続きで裁判所に取られない財産(債務者にある財産)の換価の基準

換価をしない財産(裁判所に取られない財産)

  • 債務者個人が有する次の財産は、原則として、換価、取立てをしない
    • 99万円までの現金
    • 残高が20万円以下の預貯金
    • 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
    • 処分見込額が20万円以下の自動車
    • 居住用家屋の敷金
    • 電話加入権
    • 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
    • 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
    • 家財道具
    • 差押を禁止されている動産、債権
      換価をしない場合は、その範囲内で自由財産拡張の裁判があったものとして取り扱う

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